22. 仕事納め (1) -生き方-
一年の最後の仕事の日が、仕事納めです。
納めるとは、終わりにするという意味合いがありますので、歳の暮れにその年の仕事を終えた日それが仕事納めです。私どもの仕事は、27日(土)午前が、仕事納めでした。
この一年で私は自分自身の人生観を一変させる出来事があり生きるとはどういうことか・・・働くとはどういうことか・・・を考えさせられたこの一年の月日でした。
平成19年5月に開院した時私は、クリニックの外来受付に置いてあるパンフレットに次のような簡単なメッセージを記載しました。
1.はじめに First of all
元気で健康な脳でありたい・・・だれもが望む願いです。
毎日の暮らしが、心身ともに健康であるために・・・
日々の生活で明るく元気を出すために・・・
そんな願いを込めて診療します。
院長 古市 晋
私が、パンフレットの中で一番最初に掲げたかった文章です。
First of all とは、「全ての中の一番はじめ」という意味です。
私は脳神経外科を専門にしていますので “脳” が、まずは何をおいても元気で健康でありたいと。
そして “心と身” も伴に健康でしかも明るく元気に・・・。
そんな願いが診療の始まりでした。
ここでいう“脳”とは、主に脳卒中を指しています。
だって私は、仮にも一介の脳神経外科医ですから。
“心と身”とは、主に脳卒中に関連した予防と後遺症に主眼をおいた心と身のこと。
同じ心身とは言いながら精神や身体を専門している多くの先生方とは、その専門性の奥深さからして私などは実力において比較の対象にはなりません。
だって私は、単なる脳神経外科医ですから。
パンフレットの中で2番目に掲げたかったメッセージは命と心についてでした。
2.二軸の視点 Twin point of view
「命」と「時間」の軸
命とは・・・有限の時間を刻むこと
だから、命を生かすため時間を大切に過したい。
「心」と「物・時」の軸
心とは・・・物と時を有機的に関係づけるもの
だから、心を活かすため物と時の無駄を排したい。
この二つのメッセージは、今も私の基本になっています。
この一年、人生観を一変させる出来事によって生きるということはどういうことか、を真剣に考えた時私は、瞬間的にあたかもお坊さんが達観したような境地になりました。
自分に残された時間をどう有効に生きるのか・・・
すなわち少し大袈裟に言うと『人生残余時間(平均余命-自分の年齢)の悔いなき過し方』とは・・・
そして、至ったその境地は、少し大仰だけれどもこの先の未来を生きて行く上で大切なことは “プライオリティー(優先順位)を付けたライフ(生活)・ワーク(仕事)バランスをとりながら人や社会のために自分には何ができ、どう貢献 Contribution するか”と。
私には、微々たる能力しかありませんが生きるとはどういうことか、を年末に考えさせられた仕事納めの一日でした。